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クルィモフ、ニコライ・ペトローヴィチ
KRYMOV, Nikolai Petrovich
1884年(モスクワ) −1958年(モスクワ)
ロシア・ソヴイエトの優れた風景画家、絵画の色彩理論家であり、舞台美術家としても著名。モスクワや、クラスコヴォ、ズヴェニゴロド、タルサなどのモスクワ郊外で創作活動を行なった。


雷雨の風景
Lmdscape with a Thunderstorm
1908年
油彩・カンヴァス 67×99cm
1920年、E.I.ロセヴァ(モスクワ)より入手 Zh-2225

調和を特徴とした二コライ・クルイモフの風景画は、20世紀初頭の20年問で叙情的な印象主義から新古典主義へと発展していった。《雷雨の風景》は、クルイモフがまだモスクワ絵画彫刻建築学校の学生だった頃の作品である。この作品には、ネオ=プリミティヴィズムに対する当時のモスクワの青年画家たちの関心が反映されている。若きクルイモフは、一時期、印象派や象徴派に惹かれるが、その後、ラリオーノフと同時期に、ロシアの民衆版画である「ルボーク」の美的価値を発見する。
クルイモフが、素朴で素人風のデッサンと、限定された色彩の持つ斬新さや表現力を駆使してカンヴァス上に「構築」したものは、日常性や目先の些末な事どもを一切除外し、ロマンティシズムや自然現象のすさまじいまでの力強さにあふれた新たなリアリティであり、人々が自然との調和のなかで生きている世界であった。同様の作品で描かれた人問像や動物は単なる点景にとどまってはいない。民芸の粘土細工や手彫りの玩具のように、輪郭がいくぶん簡略化されたこれらの人間や動物は、各々、遠い昔から綿々と続いてきた、単純ではあるが、重要な仕事に勤しんでいる。情景の緊迫感を伝えようとして、クルイモフは、樹木のシルエットや雷雲の躍動感を強調し、建物の「角ばった」感じにアクセントをつけている。また、黒・緑の色調と光に照らし出された部分の白とのコントラストを効果的に用いている。
クルイモフには、フォルムの解釈という約束事と描かれたものの真実性とを重ね合わせる節度の感覚が常にある。例えば、建物、人物、木立、本の葉を再現するときに、意図的に「素朴さ」を装おいながら、明るい色調と暗い色調を正確に対比して雷光、湧きあがる雷雲、豪雨のほとんどが幻想的ともいえる効果を創り出すことに成功している。クルイモフの絵のどの部分をとっても、苔々しい意気込みや、現実の世界への熱い思いが感じられる。      (V.F.K.)
Cat.no.4 雷雨の風景 1908年


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