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カンディンスキー、ワシーリー・ワシーリエヴィチ
KANDINSKY, Wassily (Vasily Vasilyevich)
1866年(モスクワ)−1944年(ヌイイー=シュル=セーヌ、フランス)
画家、版画家、記念碑壁画制作者。著作も多い。

24
青い櫛
Blue Ridge
1917年
油彩・カンヴァス 133×104cm
1920年、教育人民委員部造形美術局美術館課(モスクワ)より入手   ZhB-1609

この絵が描かれたのは第一次世界大戦の時代で、カンディンスキーがモスクワに戻り、彼の創作活動がもっとも充実していたころのことであった。 1910年代のカンディンスキーの「絶対絵画」に特有の気宇壮大なスケール、惑星の誕生と消滅の神秘に対する関心は、1917年のロシアの史実によって増幅されている。 作家はフォルムの爆発という自身が好んだモチーフを用いている。 そのモチーフは、イエロー・ピンクを背景にして、寒色系のブルー、暗赤色の点のコントラスト、円弧、楕円、鋭角的で歯状のフォルムによって強調され、それが形象に荒々しいエネルギーを注ぎ込んでいる。  (V.F.K.)

25
黄昏
Twilight
1917年
油彩・カンヴァス 92×70cm
1926年、芸術文化館(レニングラード)より入手 ZhB-1485

35
コンポジション No.223
Composition No.223
1919年
油彩・カンヴァス 126×95cm
1920年、教育人民委員部(モスクワ)より入手  ZhB‐1715

コンポジション《黄昏》と《コンポジションNo.223》はカンディンスキーの才能がもっとも華々しく開花した時期に描かれたものである。 他の多くの作品と同じく、これらの作品も抽象的な手法によって描かれたもので、そこにはカンディンスキーが確立した「絶対絵画」の概念が貫かれている。 カンディンスキーの全作品に見られる造形表現の自由は、彼によれば精神の衝動を伝達する唯一可能な方法とされる。カンヴァスの絵画的有機体の各々の要素を、カンディンスキーは、色彩豊かな組合せと線が織りなす多声的なシンフォニーの「響き」になぞらえている。 カンディンスキーの絵画の表象体系はひときわ連想性が強く、彼は、各々の絵画は啓示として生まれるべきものであると考える。 まさにここに鮮烈な表現と、実在のフォルムを処理する時の意表を突いた自在さの秘密を解く鍵がある。
コンポジション《黄昏》は造形的なシンボルにより、おぼろげな不安感、未知なるものの予感を伝えている。 作品の情緒的な雰囲気としてはドラマティックなイントネーションが勝っている。 これと同じような雰囲気はカンディンスキーがこの作品の2年後に描いた《コンポジションNo.223》のもうかがうことができる。 明確な構図で描かれた求心的な運動が、カンヴァス上で現実の破片を繋ぎ合わせ、一体のものとしている。 それは、不可視の世界であり、感情の投影であり、解き放たれた潜在意識が生みだした奇妙な構造として表現される。
カンディンスキーの芸術と20世紀の世界のさまざまな文化現象とを比較しようとすれば、彼とドイツの作曲家シェーンベルクとの親交について触れないわけにはいかない。 その友情はカンディンスキーにとっては重大な意味を持つものであり、彼の理論を構築していく上で少なからぬ影響を及ぼした(1912年、カンディンスキーの『芸術における精神的なもの』がミュンヘンで出版されたことを想起されたい)。
カンディンスキーの芸術家としての自由な発想は、芸術諸分野を統合し、象形性なるものの共通の根と、その基礎となる要素を探求することへと触手を伸ばしていく。 その過程で、彼は自らのスタイルを確立するとともに、当時の「絵画的音楽」を創造するための楽器となった、彼に固有の秀逸な描法を編み出したのである。 カンディンスキーの作品を説明しようと試みたとしても、しょせん推量の域を出ることができないだろう。 その世界は人間の魂に向けられており、人間の想像をかき立てて、心的体験を共有することの言い表わせぬ歓びを人間にもたらす。      (O.N.Sh)
Cat.no.24 青い櫛 1917年
Cat.no.25 黄昏 1917年
Cat.no.35 コンポジション No.223 1919年


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