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ボリーソフ=ムサートフ、ヴィクトル・エリピディフォロヴィチ BORISOV―MUSATOV,Viktor Elpidiforovich |
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| 1870年(サラトフ)―1905年(タルサ) | ||||||
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画家、版画家。 風景のある肖像画、主題のあるコンポジションを制作。 1900年代中頃のレトロ的な基調に貫かれた詩的な芸術は、「青いバラ」派世代の象徴派の画家たちの芸術探求に決定的な影響を与えた。 サラトフ(1903年まで)、モスクワ郊外のボドリスク、タルサに居住。 1 刺繍台に向かって At Needlework 1901年 油彩・カンヴァス 68.5×58cm 1927年、S.A.ビリビンより入手 Zh-2037 ボリーソフ=ムサートフの作品が当時の人々に正当に評価されたのは、彼の短い生涯の晩年近くになってからのことであった。19-20世紀にかけてモスクワからも、ペテルブルグからも遠く離れて活動していたボリーソフ=ムサートフはロシア絵画の革新者として、新しい道程とその新しいテーマの確立者として活動した。ボリーソフ=ムサートフは印象主義を乗り超え、「総合」の問題にのめり込んでいた。彼の大作や小品には、きわめて個性的な「ムサートフ風」とでも呼ぶべきフォルムの概念が貫かれている。 普遍化され、常にきらびやかで、それでいて、心躍るような感動を誘うフォルムである。 これらの作品は音楽性に満ち、本質において隠喩的な性格を持っていた点で、その当時のモスクワの若い象徴派詩人たちの詩にも近い。 アントン・チエーホフや、イワン・ブーニンと同じく、ボリーソフ=ムサートフも、古い貴族の屋敷に題材を取っている。 20世紀初頭のロシアでは、プーシキンからアンドレイ・ベールイにいたるまでのロシアの詩人たちが詩に描いた、この消滅しつつある古い世界は、永遠に失われてしまった調和と美の「黄金時代」と受けとめられていた。ここで、ボリーソフ=ムサートフは貴族の巣の消滅や、貴族の生活様式の崩壊を見せることは避けている。 明るいメランコリーに満ちた絵画のなかで、彼は、ツルゲーネフ時代の貪婦人や女性像を描いている。物語性や明確な主題が欠如した、これらのヒロインたちは物思いにふけったり、ひそひそ話に興じたりしている。そうした彼女たちのありさまを伴奏するかのように、屋敷内の古い庭園などの風景の雰囲気が対置されている。 目に見えるフォルムを貫く、繊細な線と色彩のリズムが音楽的な感覚を生んでいる。 《刺繍台に向かって》はボリーソフ=ムサートフの傑作の一つに数えられる。 洗練されたシルバー・パープルを基調にしたこの絵は彼の色彩感覚と構成力の結晶であり、芸術的連想をかきたてる、レトロ調のキートーンで彩色された絵画の典型である。 夏の農村の風景をバックにして、刺繍台に向かう若い女性の像は、蘇ったロマンティックな夢、古い屋敷の「魂」、画家の幻影のように思われる。 そこで画家は、世界の美を愛し、調和と幸福があり得ぬことを自覚し、全てが崩壊しつつある時代の俸さを憂えているのだ。 (V.F.K.) |
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| Cat.no.1 刺繍台に向かって 1901年 | ||||||